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労務管理コラム

2015年7月10日

「再雇用制度」導入の進めかた ~カムバック支援助成金のご案内~

新聞で「出戻り社員歓迎」と記事にもなっていましたが、人手不足の昨今、出産や育児で離れた社員を即戦力として受け入れる企業が増えています。                                               一度退職した社員とはいえ、仕事内容や社内事情をも把握している出戻り社員は、貴重な人材です。本人の都合で退職しているので、なんとなく「裏切り者」という気持ちになることもあるかもしれませんが、積極的に受け入れることは、人手不足で疲弊しがちな在職中の社員のためにもメリットの方が大きいのではないでしょうか。

 

そのような企業の動向によるものか、7月になり厚生労働省から、両立支援助成金~再雇用者評価処遇コース~を、「カムバック支援助成金」と通称名を付して再案内するリーフレットが公表されています。

 

この助成金は、再雇用制度の導入から始めます。

①再雇用制度を就業規則に規定する

*対象者:妊娠、出産、育児、介護、配偶者の転勤等(配偶者の転居を伴う転職を含む。)を理由として退職した者

*退職前の勤務実績等を適切に評価し、処遇の決定に反映させることを明記する

②再雇用登録希望者には、退職時または退職後に「退職理由と再雇用希望」を記入した社内様式を提出してもらう

③新規採用案件が出たら、再雇用希望者のうち採用案件に合致する者に再雇用を提案する

④再雇用の条件に、会社と再雇用希望者が合意したら復職決定となる

 

実際に助成金の対象となるか否かは、以下のような要件に該当するかどうかによります。

①退職日の前日において、雇用保険被保険者として継続して1年以上雇用していること

②退職後1年以上経過していること

③再雇用し、無期雇用者として6ヵ月以上継続雇用していること                                                                                     または、当初、有期契約労働者として再雇用した場合は、無期雇用契約を締結後、6ヵ月継続雇用していること

 

この助成金の対象者は、出産や介護など本人が退職を望んでいないにも拘わらず、多くの場合、仕事と家庭の両立を断念し退職せざるを得なかった方です。                                             月日が経過し、両立を考えられるようになった時に、迎えてくれる会社があることは心強いと思います。

そして、会社にとっても、ビジネスの現場から一時的に離れたことのデメリットはあるもの離職期間に経験した育児や介護は人としてその方を成長させていることと思います。その面をメリットとして捉え、積極的に再雇用してはいかがでしょうか。

 要件に合致する方がおりましたら、以下の助成金が支給されます。

支給額:再雇用人数 1人目の場合  ・・・中小企業は38万円

          2~5人目の場合・・・中小企業は28.5万円

※1事業主あたり5人まで支給されます。詳細は、添付のリーフレット等をご覧ください。

 

厚生労働省では、「ご活用ください!」として、次のリーフレットを紹介しています。
<カムバック支援助成金のご案内>
https://www.mhlw.go.jp/content/000529414.pdf

なお、両立支援助成金の全体を案内するリーフレットなどについても、2019年7月作成のものが公表されていますので、ご紹介しておきます。
<両立支援等助成金のご案内(リーフレット)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000526013.pdf
<両立支援等助成金支給申請の手引き(パンフレット)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000532830.pdf

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「テレワーク」という働き方

多様な働き方が拡がり始めているなかで、このテレワークという言葉が話題に上ることも増えてきましたが、どのような企業や業種に適している働き方なのか、また実際に導入するとなった場合にどのような課題をクリアしなければならないかなどを考えてみます。

 

1.テレワークとは

「遠方の」という意味の「テレ」とワークを組み合わせた言葉なので、遠方で働く(=通常の職場ではない場所で働く)ことを指しますが、一般的には、育児や介護等の理由により職場での勤務が困難な為に自宅で仕事をする場合や、あえて会社に出勤しなくても個人で仕事が完結できる為に自宅やシェアオフィス、カフェなどで仕事をする場合などがあり、最近では後者のような多様な働き方が増えてきています。

 

2.テレワークのメリットやデメリット

テレワークのメリットとしては、通勤にかかる時間を無くす(又は短縮する)ことができる、仕事の時間とプライベートな時間を上手に組み合わせて時間を有効に使える、電話応対等に煩わされず集中して仕事ができる 等があり、デメリットとしては勤務時間とプライベートな時間の区別がつきづらくなる、家族がいたり、周りの環境によって集中して仕事が出来ない、勤務時間の把握が困難である、職場内のコミュニケーションが不足する 等があげられます。

 

3.テレワークに向いている仕事や職場

そもそも、テレワークが可能な仕事であることが前提となりますので、職場に行かなければできない仕事や、常に周囲のメンバーとの連携が必要な仕事などは除外されますが、さらに基本的に個人で仕事が完結できる業務であったり、個人ごとに業務が細分化されているような業務が向いています。

そして、インターネットに接続が出来れば社内のサーバーにアクセスしたり、web会議ができるなどの社内環境が整っていることも、テレワークを進めやすい職場といえます。

 

4.テレワーク制度を実施する場合の留意点

① 労働時間の把握について

⇒テレワークを行う場合であっても、就業時間の管理をしっかりと行う必要があります。

始業・終業時や、休憩時間、業務からの中断時の連絡を電話やメールで行うこと、業務日報の提出を義務付けるなどして、就業時間を把握する必要があります。

 

② 社内のコミュニケーションの円滑化

⇒出勤日を設定したり、会議に参加することを義務付けるなど、社内コミュニケーションの円滑化にも配慮する必要があります。

 

③ 機密情報(企業情報、顧客データなど)の管理について

⇒社外(自宅だけでなく公共の場)で業務を行うことになるので、機密情報の管理についての対策(対象者への研修や情報管理の徹底)などが必要になります。

 

 

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はじめての産休・育休希望者への対応②

今回は出産前後のお金に関する話をします。                                                        出産前後は働き方を変えなければいけないので、一般的には収入が減ります。それを補う制度をご案内します。

 

~産休期間中のお金のはなし~

出産を間近に控え、産休期間に入ると多くの会社では無給となります(産休期間中の給与の取扱いについては就業規則をご確認ください)。

今まで給与収入があったのに無くなり、更に出産費用のことを考えると経済的に不安になる方もいるかもしれませんが、この期間中、給与の代わりに健康保険から「出産手当金」が支給されます。

産休前の1年間の給与平均の約67%が支給されます。ただし、期間を経過してからの申請になりますので、産休期間に入ってすぐに支給されるわけではありません。ご注意ください。

 

また、分娩にかかった費用についても健康保険から「出産育児一時金」として42万円(※)が支給されます。支給方法は2つあります。

分娩にかかった費用を全額支払った後で申請をする事後申請タイプと、もう一つは分娩費用のうち42万円を超えた部分のみ病院に支払う充当タイプの「直接支払制度」です。

直接支払制度を利用した場合で、分娩にかかった費用が42万円を下回る場合はその差額を事後申請により受け取ることができます。

よって、どの制度を利用しても42万円は支給されるということです。

(※)産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は40.4万円となります。

参考リンク                                                                                                                                                                                                 「出産で会社を休んだとき」(協会けんぽ)                                                        「子どもが生まれたとき」(協会けんぽ)

 

 

~育休期間中のお金のはなし~

出産後8週間経過後すると、育休期間に入ります。

この期間は雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。支給額は2段階になっており、育休開始から180日目までは産休前の1年間の給与平均の約67%が支給されます。それ以降は約50%になります。

支給期間はお子さんが1歳になるまでですが、1歳までに保育園等の預け先が見つからない場合は、1歳6か月まで延長ができます。更に1歳6か月時点でも預け先が見つからない場合は、最長2歳まで延長ができます。

基本的には2か月に一度申請をして、2か月分の給付金が支給されます。

参考リンク                                                                                                                                                                                                   「雇用継続給付」(ハローワークインターネットサービス)                                                                             「Q&A ~育児休業給付~」(厚生労働省)

 

~産休・育休期間中のお金のはなし(会社編)~

産休・育休期間を通して、健康保険料(40歳以上の方の介護保険料含む)・厚生年金保険料が免除になります。これは個人負担分だけでなく、会社負担分も免除となりますので、忘れずに申請してください。

参考リンク                                                         「保険料の免除等(育児休業関係等)」(日本年金機構)

 

~育休に関するお金のはなし(会社編②)~

はじめての育休取得者の方がこれから育休をとるのであれば、両立支援等助成金(育児休業等支援コース)にあてはまるかもしれません。該当すれば、会社に28.5万円が支給されます。

参考リンク                                                                       「仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主等のみなさまへ」(厚生労働省)

 

 

最後に、育児休業をとる方はその前提として復職を望んでいる方ですので、休業期間中も定期的に連絡をとりあい、お互いの状況を伝えあうことが必要だと思います。それが復職後の関係にも繋がるはずです。

また、妊娠出産はおめでたいことですが、周りで働いている社員には負担がかかることが多いと思われます。社内の人が心から祝福し、お互いに助け合っていく環境づくりが重要です。社員のみなさんの人間力が問われているのかもしれません。

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はじめての産休・育休希望者への対応①

~「産休をとりたい」と女性社員から相談を受けたら~

今や出産後も育児をしながら働くママ社員は約7割を超えたといわれています。仕事と育児を両立できる制度がほぼ整っているといってもいいのかもしれません。

社員から「産休をとりたい」と言われたら、まず「就業規則」に則って会社の産休・育休制度を説明し、今後の流れについて双方で確認していくのが良いと思います。                                                    ちなみに育児・介護休業法は平成29年10月に改正がされていますので、それ以前に作られた「就業規則」は改正後の「育児・介護休業等に関する規則の規程例」を参考に内容を変更する必要があります。

 

具体的な対応についても努力義務があります。その主旨を理解したうえで面談されることをお勧めします。

事業主は、働く方やその配偶者が妊娠・出産したこと等を知った場合に、その方に個別に育児休業等に関する制度(育児休業中・休業後の待遇や労働条件など)を知らせる

(平成29年10月改正育児・介護休業法のポイントより)

 

【社員に確認すること】

  • 出産予定日
  • 産休を開始する希望日
  • 希望する育児休業期間(職場復帰予定日)
  • 復帰後の働き方(ex.時短勤務 等)
  • その他、出産前後の勤務で会社へ希望すること(ex.異動 等)

 

初めての産休・育児休業取得者の場合、会社として対応に戸惑うことも多いでしょう。だからこそ、お互いが少しでも休業前後の働き方についてイメージできるように話し合うことが必要だと思います。                                                                                                             会社としては、産休・育休とはいえ、長期間一人欠員がでることになり、代替人員についても考えなければならないところですが、ここでは産休・育休取得者に伝える制度についてご説明します。

参考リンク                                                                                                  「育児・介護休業等に関する規則の規程例」(厚生労働省)

 

 

~出産前後の休業イメージ~

出産前は出産予定日を基準にしますが、出産後は出産日を基準にカウントします。よって、産後休業と育児休業の期間については、多くの場合ズレが生じます。育休期間は保育園に入所できない等の特に必要と認められる場合には、最長2歳まで延長することができます。

 参考リンク                                                                                       「まるっと解説!(妊娠~出産~産休・育休~復職)」 「まるっと解説!変更点」(神奈川労働局)                                                                        「ワタシの産休&育休って、いつから?いつまで?」(神奈川労働局)

 

 

~産休前の勤務で配慮すべきこと~

妊娠期間中は母体が不安定な時期でもあり、会社は母性保護のために必要な取扱いをしなければなりません。

【主なもの】

  • (健康診査を受け、医師等から指導受けた場合)時差出勤、勤務時間の短縮等の必要な措置を講じなければなりません。
  • (社員が請求した場合)産前6週間には就業させてはいけません。
  • (社員が請求した場合)他の軽易な業務に転換させなければなりません。

 

 

~産休・育休中の社員に配慮すべきこと~

出産を控え休業に入り、その後育児に専念されている時期は会社と疎遠になりがちです。スムーズな復職のためにも相互で休職中の情報交換を定期的行うことが理想的です。

 

 

~復職した社員に配慮すべきこと~

復職した方にも、就業にあたり出産前と同様に母性保護のために気をつけなければならないことがあります。

【主なもの】

  • 産後8週間は就業させてはいけません。                                  (産後6週間は必ず休ませなければなりません。ただし、産後6週間を経過後に、社員が「復職したい」と請求し、医師が支障ないと認めた業務について、就業させることはさしつかえない、とされています)
  • (妊娠期間中と同様に社員が請求した場合)時間外労働、休日労働、又は深夜業をさせてはいけません。

 

出産後、母体が出産前の体に戻るまでに一年がかかるといわれています。                      一年が経過しても目に見えない心身の不調も考えられます。会社は、復職にあたり他社員への配慮も含め、バランスのよい働きかけが必要になると思われます。

出産前後については、その他にも「労働基準法」や「男女雇用機会均等法」にいくつかの制限が設けられています。

参考リンク                                                                                               「働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について」(厚生労働省)

働きながらお母さんになるあなたへ(厚生労働省)

 

次回は出産前後の「お金のはなし」を取り上げます。

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ポジティブメンタルヘルス

「メンタルヘルス」という言葉は、昨今では「メンタルヘルスの不調(疾患)」や「心の傷」のように、                                      どちらかと言うとネガティブな言葉として用いられることが多いのですが、欧米では心のポジティブな                                       面への関心が高まり、その効果などについて様々な研究がなされています。

ポジティブメンタルヘルスは、人々のポジティブな感情や考え方・行動を向上させていくことに眼目が                                       置かれます。ことに職場のメンタルヘルスは、うつ病対策といった面が中心課題に据えられてしまいま                                                       すが、そうした疾病(不調)対策のみならず「どうすれば、より生き生きと、意欲や向上心を持って働                                                       くことができるか」というポジティブな側面に着目し、職場の活性化につなげようとするポジティブメ                                                             ンタルヘルスが求められます。

 

様々な研究の中で、ポジティブな感情や思考は作業効率を向上させたり、幸福感を感じられたりといっ                                                       た効果が示されています。

ある実験で、課題を課された披験者は、前もって楽しい本を読むなどの肯定的な感情をインプットされ                                                       ている方が、されていない方と比べてより多くの課題をクリアした。あるいは連想ゲームでは、前もっ                                                      てポジティブなインプットをされている人の方が反応が迅速だったなどの研究が多数発表されています。

それぞれの研究の完成度には議論の余地はあるものの「幸福だからポジティブになれる」という構図で                                         はなく「ポジティブが呼び込む幸福」がありうるという考え方を強めるに十分な材料です。

 

前向きで明るく、何だか幸せに近づけそう。そんなイメージを抱かせるポジティブメンタルヘルスは、                                                       とても魅力的で興味をそそられます。しかし一方で、ポジティブ一辺倒への懸念を指摘する声もあります。                                                     苦しみの渦中にあって支援を必要とする人々が切り捨てられたり、偏見を強めることにつながりかねない                                      からです。悩むことが悪いことであるととらえられてしまう恐れもあります。ネガティブな要素を直視す                                       ることによって生まれる、真の心の成長や、他者との深い相互理解、ものごとへの現実的な検討なども人                                       が生きていく営みの中では非常に重要であると考えます。

大切なのはネガティブとポジティブは常に表裏一体であり、どちらの側面からも人や自己を理解し、より                                               よく生きていくためには有用なアプローチであることを心に留めつつ、ポジティブメンタルヘルスの意義を                                     理解していくことだと思います。

                       

♪あなたのポジティブ度をチェックしてみませんか?

 

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「同一労働 同一賃金」~運用までのプロセス~

昨今では、働き過ぎの是正や少子高齢化などに伴う労働力不足の解消などを目的として、働き方改革が国の重要政策になり、様々な施策が検討、実施されようとしています。                             その中で、最近よく耳にするようになった「同一労働 同一賃金」を取り上げてみたいと思います。

昨年6月に可決されました働き方改革関連法では、2020年の4月1日より(中小企業にあっては、2021年4月1日より)正社員といわゆる非正規社員(パート、アルバイト、契約社員 等)とで、給与などでの不合理な待遇差を設けることが禁止されます。                                                                             つまり、仕事の内容や責任の程度等が正社員と同じあれば、給与や福利厚生の面でも均等に取扱う必要があります。(単価が同等であれば、勤務時間に応じて支給額が異なることは差し支えありません)

これが、同一労働同一賃金の考え方です。

 

※正社員と非正規社員とで、どのような理由であれば待遇差を設けても良いのか(どのような場合には待遇差を設けてはいけないのか)についてのガイドラインも示されております。

《参考》同一労働 同一賃金ガイドライン(厚生労働省)

 

ただ、その前提として、正社員と非正規社員とで担っている仕事の内容や、どのような責任を持って仕事をしているのかといった業務内容・職責の範囲が明確になっていないことには、均等待遇を求められる対象かどうかの判断も出来ません。                                                                              まずは各々が携わっている仕事の内容や、指示系統、責任の範囲などを一度洗い出してみることによって、現状の職場の見える化をすることが最初のステップになるかと思います。                           そして、例えば正社員と同等の働き方をしているパートの方がいれば、その方にはそれに伴った待遇をすることによって、同一労働同一賃金が実現できるだけでなく、職場のモチベーションアップにも繋がるのではないでしょうか。

 

 

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職場のパワーハラスメントにおける使用者の責任


厚労省では、職場のいじめ・嫌がらせについて都道府県労働局への相談が増加傾向にあったことを踏まえ、平成24年3月に「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を取りまとめました。提言の中では定義や類型について、以下のようにまとめられています。

 

職場のパワーハラスメントの定義

職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」と定義しました。

 

この定義においては、以下を明確に示しています。

  • 上司が部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当すること
  • 業務上の必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること

 

 

職場のパワーハラスメントの6類型

上記で定義した、職場のパワーハラスメントについて、裁判例や個別労働関係紛争処理事案に基づき、次の6類型を典型例としました。

1) 身体的な攻撃 
暴行・傷害
2) 精神的な攻撃
脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
3) 人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
4) 過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5) 過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや                     仕事を与えないこと
6) 個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること

 

 

職場のパワーハラスメントをなくすために                                      使用者が講ずることがのぞまし取り扱いについて

  • 職場のパワハラがあってはならない旨の方針の明確化
  • パワハラ行為が確認された場合には厳正に対処する旨の方針
  • 対処の内容について就業規則等への規定
  • 従業員への周知・啓発等の実施
  • 相談等に適切に対応するために必要な体制の整備

 

使用者はこれらを「パワーハラスメント防止指針」(以下参照)として掲げ、従業員へ強い意思を示すことが必要かと思います。

 

パワーハラスメントにかかわる使用者責任について

職場にてハラスメントを行った者は、民事上の不法行為責任を負うことになりますが、そのような職場環境を改善しない使用者も同様に責任を負います。

使用者には、男女雇用機会均等法、育児介護休業法による防止措置義務等とともに、労働契約法上の安全配慮義務、職場環境配慮義務が課せられています。そのため服務規律でパワハラの発生防止を規定し、非違行為が発生した場合には直ちに是正措置を講ずべき義務を負っています。この義務を怠った場合、使用者責任や債務不履行責任を問われることになります。

 

これらのパワハラは、個人の問題にとどまるだけではなく企業にとっても、組織の生産性に悪影響を及ぼすことになります。                                                     パワハラ問題については、企業が一丸となって取り組むことが重要と考えます。

 

※パワハラの具体的事例や対策についてはこちらをご覧ください(あかるい職場応援団)※

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社員が入社したら伝えたい社会保険まめ知識 ~健康保険編②~

今回は4~6の制度について、その概要と必要な手続きについてご案内します。

制度の名称 等 概   要
1.療養の給付 病気や怪我をした時に、一部負担金(3割 等)を支払うことで治療を受けることができる
2.高額療養費                   (限度額認定証の使用) 入院や手術をした際など、医療費が高額になり病院に支払う                 自己負担額が多くなる場合に、一定額以上の負担が軽減される
3.傷病手当金 病気や怪我などにより長期に会社を休まなければならなくなった際、              給与が支払われなくなった場合の所得を保障する                    (休職前の給与の約2/3が、最長1年6ヶ月間支給される)
4.出産育児一時金                                (直接支払制度の利用) 本人又は扶養家族が出産をした際に一児につき42万円が支給される                         (出産医院等に直接一時金を支払うことに合意すると、出産費用に充てることも出来ます)
5.出産手当金 産前産後休暇をとった際、その期間の給与が無くなった場合の所得の補償をする                                   (休職前の給与の約2/3が産前6週間、産後8週間分支給される
6.埋 葬 料 本人又は扶養家族が死亡した際に5万円が支給される

 

 

4.出産育児一時金 (直接支払制度の利用)

【制度の内容】

従業員本人又はその扶養家族が出産をした場合に、一時金として42万円を受給することができます。(妊娠4ヶ月以後の流産等の場合にも受給することが出来ます)

なお、出産される従業員(又は扶養家族)と出産医院の間で合意文書を取り交わすことで出産一時金と出産費用を相殺することが出来ます。(直接支払制度)

【直接支払制度】

直接支払制度を利用した場合で、出産費用が42万円以下の場合には出産医院での支払が不要になり、42万円を超えた場合には差額のみを出産医院に支払うことになります。(下記、左図参照)                           42万円未満であった場合には、後日、出産費用との差額を協会けんぽに請求することで受給することができます(下記、右図参照)

 

協会けんぽの申請書はこちら→ 「出産育児一時金支給申請書」 「出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書」 をご利用ください。

 

 

5.出産手当金

【制度の内容】

出産の為に会社を休み(産前産後休暇)、その間の給与が支払われない場合月額給与のおよそ2/3が支給されます。

対象となる期間は、産前休暇(出産予定日の6週間前以降で会社を休み始めた日)から産後休暇(出産日の翌日から起算して8週間)までとなります。

(その為、出産日が予定日よりも遅れた場合には、受給できる期間が長くなります(図1))

 

【手続きの流れ】

 

協会けんぽの申請書はこちら→ 「出産手当金支給申請書」  をご利用ください。

 

6.埋葬料

制度の内容】

従業員本人又は扶養家族になっていた者が死亡した場合には、申請者に応じて5万円(又は5万円未満で埋葬に要した費用)が支給されます。

 

【手続きの流れ】

 

協会けんぽの申請書はこちら→ 「埋葬料(費)支給申請書 」  をご利用ください。

 

給付金は申請することで受けられるものですので、該当するケースは速やかにお手続きすることをお勧めします。

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社員が入社したら伝えたい社会保険まめ知識 ~健康保険編①~

4月には多くの会社で入社される方がいるのではないでしょうか。
その新入社員に伝えておきたい健康保険の給付制度についてご説明します。

健康保険に加入していると、病気や怪我をした時に一定の自己負担だけで病院にかかれるだけでなく、様々な給付の制度があります。
以下、今回は1~3の制度の概要と必要な手続きについてご案内します。(4~6は次回ご案内します)

 
制度の名称 等 概   要
1.療養の給付

病気や怪我をした時に、一部負担金(3割 等)を支払うことで治療を受けることができる

2.高額療養費
(限度額認定証の使用)

入院や手術をした際など、医療費が高額になり病院に支払う
自己負担額が多くなる場合に、一定額以上の負担が軽減される

3.傷病手当金

病気や怪我などにより長期に会社を休まなければならなくなった際、
給与が支払われなくなった場合の所得を保障する                    
(休職前の給与の約2/3が、最長1年6ヶ月間支給される)

4.出産育児一時金
(直接支払制度の利用)
本人又は扶養家族が出産をした際に一児につき42万円が支給される
(出産医院等に直接一時金を支払うことに合意すると、出産費用に充てることも出来ます)
5.出産手当金 産前産後休暇をとった際、その期間の給与が無くなった場合の所得の補償をする
(休職前の給与の約2/3が産前6週間、産後8週間分支給される
6.埋 葬 料 本人又は扶養家族が死亡した際に5万円が支給される

 

 

1.療養の給付 

【制度の内容】
病院にかかった際に、健康保険証を提出することで受診できます。
自己負担額は年齢により異なりますが、通常は3割です。
・小学校未満の子 2割
・70歳以上 原則2割(但し、現役並みの所得がある場合は3割負担)

【ポイント】

◆仕事中や通勤の途中で怪我等をした場合には、健康保険証が使えませんので病院には「労災保険」を使う旨を伝えて治療を受けて下さい。

◆入社間もなく、まだ健康保険証が手元に無い時に病院にかかりたい場合には一度、医療費の全額(10割)を病院に支払っておき、後日、7割相当額を健康保険の方に請求することができます(「療養費」の申請)

 

2.高額療養費(限度額認定証の提示による受診)

【制度の内容】
①高額療養費の申請(後日、健康保険へ申請)
病院にかかった際に支払った自己負担額(通常3割)が高額になった場合に、一定額(自己負担限度額)を超えると超えた分が、後から健康保険より返還されます。

②限度額適用認定証の申請(申請書を病院で提示)
入院や手術により予め医療費が高額になることが見込まれる時は、事前に健康保険に限度額認定証の発行を申請しておき、それを病院の支払いの際に提示すると、自己負担限度額までの支払いで済みます。後日、精算の必要がないので便利です。

■自己負担限度額(暦月ごとに計算します。入院と通院は別に計算をします)

所得区分 自己負担限度額 多数該当※
 A.標準報酬月額が83万円以上  252,600円 +(総医療費-842,000円)× 1%   140,100円
 B.標準報酬月額が53万円~79万円  167,400円 +(総医療費-558,000円)× 1%   93,000円
 C.標準報酬月額が28万円~50万円  80,100円 +(総医療費-267,000円)× 1%   44,400円
 D.標準報酬月額が26万円以下  57,600円   44,400円
 E.住民税の非課税者  35,400円   24,600円

※多数該当は、高額療養費の申請月以前の直近1年間に、3か月以上高額療養費の支給を受けている場合、4か月目から自己負担額が軽減される措置です。

【手続き】
①高額療養費の申請 ⇒ 「高額療養費 支給申請書」に記入し、健康保険(協会けんぽ等)へ提出
【添付書類】
特になし(原則)
■ケガ等の外傷の場合:「負傷原因届」
■第三者による傷病の場合:「第三者行為による傷病届」

 

②限度額適用認定証の申請 ⇒「限度額適用認定申請書」に記入し、健康保険(協会けんぽ等)へ提出 
【添付書類】
特になし(原則)
※限度額適用認定証の有効期限は最長で1年です。
※ 70歳以上の方は高齢受給者証を提示することで、この認定証の代わりになります(原則)。
但し、現役並みの所得がある場合は、限度額適用認定証(自宅宛郵送)が交付されます。

協会けんぽの申請書はこちら→ 「高額療養費支給申請書」「限度額適用認定申請書」をご利用ください。

 

3.傷病手当金

【制度の内容】

病気やケガなどで長期に会社を休まなければならず、その期間の給与が支給されない場合、給与額のおよそ2/3の額が健康保険から支給されます。(最初の3日間は支給されず、受給できる期間は受給開始から最長1年6か月です)

要件

① 病気や怪我の為、連続して4日以上(会社の公休日も含む)勤務が出来ない状況であること
(ただし、仕事中や通勤途中のケガ等については、労災保険を使うので対象外)
② 医者からその期間の労務不能の証明をもらうこと
③ 休んだ期間の給与が支払われないこと

 

【手続きの流れ】

※休業が長期にわたる場合は、1か月位ごとに医師の証明をもらい申請することが一般的です。

 

【支給の対象となる期間について】

・労務不能とされた最初の3日間は対象となりません
(この3日間は有給休暇を使っても差支えありません)

・支給の対象となった日から最長で1年6ヶ月の期間で、労務不能であった期間が支給の対象となります。

・支給対象期間中で、仕事に復帰できた期間があり、その後再び同じ病気等で休み始めた場合には、その復職していた期間を含めて最長1年6ヶ月です。

【傷病手当金を受給している従業員が退職する場合】
既に傷病手当金を受給している従業員が退職することになった際、以下の全ての条件に該当する場合には、退職後も引き続き傷病手当金を受給することができます。

① 退職日までに、1年以上、健康保険に加入していること

② 資格喪失時(退職日の翌日)において、傷病手当金を受給しているか、又は受ける条件を満たしていること(最初の3日の待機期間を満たしていること)

③ 退職日に出勤していないこと

 

協会けんぽの申請書はこちら→ 「傷病手当金支給申請書」をご利用ください。

 

いずれの制度も給与が支払われなかったり、高額な治療費がかかった時にとても助かる制度です。もし、該当される方がいらしたらぜひご利用ください。
次回は4~6をご案内します。

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「産業医・産業保健機能」「長時間労働者に対する面接指導等」の強化(2019年4月1日施行)

働き方改革関連法により改正された事項

 

1.概要                                                                                                働き方改革関連法により2019年4月1日から実施される内容のうち、労働安全衛生法等の改正にかかる内容は                                                             以下の通りです。

 

(1)産業医・産業保健機能の強化

⇒ 事業主が産業医に対して従業員の健康状態に関する情報提供を行うようにしたり、産業医の独立性や中立性を                                                        高めることによって、より効果的な活動を行いやすい環境を整備する。

(2)長時間労働者に対する面接指導等

⇒ 長時間労働者などの健康リスクが高い状況の労働者に対し、医師による面接指導が確実に実施されるようにして、                                                 労働者の健康管理を強化する。

 

2.具体的内容

(1)産業医・産業保健機能の強化」にかかる主な改正点

事業主は産業医に対して以下の情報を提供しなければならない

・健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックに基づく面接指導後に講じた措置の内容                                                      ・時間外労働、休日労働の時間が1ヶ月に80時間を超えた労働者の氏名 等

事業主は以下の内容を労働者に周知させなければならない                                                                       (職場の見やすい場所に掲示する、又は労働者に文書で交付するなどの方法による)

・産業医の業務の具体的な内容                                                                                       ・産業医による健康相談の申し出の方法                                                                                                ・労働者の心身の状態に関する情報の取扱い方法

 

(2)長時間労働者に対する面接指導」にかかる主な改正点

時間外労働、休日労働の時間が1ヶ月に80時間を超えた労働者本人に対して、当該超えた時間を通知しなければ                                                               ならない

面接指導の対象となる労働者の要件が以下のように拡大した

【改正前】1ヶ月あたり100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者                                                                      【改正後】1ヶ月あたり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者

 

※厚生労働省のリーフレットはこちらをご覧ください※

※「産業医」について常時労働者50人以上の場合はこちらをご覧ください(厚生労働省)※

※常時労働者が50人未満の場合はこちらをご覧ください(独立行政法人労働者健康安全機構)※

 

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