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労務相談Q&A

労働基準法及び判例等にかかるQ&A

管理職の残業代支払い

2015年8月25日
A

当社はファミリーレストランを経営しておりますが、各店舗の店長にあっては管理職と考え、所定時間を超えた分については、時間外手当ではなく役職手当を支払っております。
「名ばかり管理職」という言葉を耳にすることもありますが、当社の取り扱いは問題あるでしょうか。

ちなみに、各店舗の店長はアルバイトやパートタイマーの採用を自らの裁量で行っており、シフトの決定も一任されております。また、一般社員とは異なる給与体系(役職手当の支給や賞与での特別手当あり)が適用されており、毎月行われる店長会議へも出席させております。

ただ、営業時間中はレジやホールの業務を手伝うこともあり、必然的に長時間労働となっているのも事実です。

Q

労働基準法では事業の種類にかかわらず監督もしくは管理の地位にある者、または機密の事務を取り扱う者には、年次有給休暇や深夜労働の規定を除き、労働基準法に定める労働時間、休憩および休日に関する規定を適用しないことになっています。しかし、その「監督もしくは管理の地位にある者」については、労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者とされており、役職の名称にとらわれず職務内容、責任と権限、勤務の実態などに即して判断すべきものであるとされています。

店長といえども、経営方針の決定や労務管理上の指揮権限、および自己の勤務時間について自由裁量の権限が与えられていないと認められる場合などには、法定労働時間が適用される労働者であると考えられ、時間外手当の対象となります。

 労働基準法に定める労働時間等の規定の適用除外となる管理監督者とは、労働時間、休憩、休日に関する規制の枠を超えて活動することが当然とされる程度に企業経営上重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまない立場の者に限られます。

 ところが近年、企業において管理監督者の範囲を広く取り過ぎるといった不適切な取扱いにより、結果として支払うべき割増賃金を支払わず、過重な長時間労働を行わせている事例があります。

 なお、管理監督者をめぐる裁判例について以下のものがあります。


【管理監督者に該当しないとされた裁判例】

1.出退勤の自由がなく、部下の人事考課や機密事項に関与していない銀行の支店長代理(静岡地裁判決 昭53.3.28 静岡銀行事件)

2.材料の仕入れ、売上金の管理等を任されているが出退勤の自由がなく、仕事もウエイター、レジ係等全般に及んでいるレストラン店長(大阪地裁判決 昭61.7.30 レストラン・ビュッフェ事件)

3.売上金の管理、アルバイト採用の権限がなく、勤務時間の定めがあり、通常の社員としての賃金以外の手当てが全く支払われていなかったベーカリー・喫茶部門の店長(大阪地裁判決 平成8.9.6 インターパシティック事件)

【管理監督者に該当するとされた裁判例】

1.労働時間の自由裁量、採用人事の計画・決定権限が与えられ、役職手当を支給されている人事課長(大阪地裁判決 昭62.3.31 医療法人徳州会事件)

2.出退勤管理がなされていたとしても、基本給以外に管理職に支払われる特別の手当が支払われ、労務管理上の指揮監督権を有し、経営者と一体的立場にあるとみなされたマネジメント・デシジョン・サポート・スタッフおよびマネージャー(東京地裁判決 平9.1.28 バルシングオー事件)